眼下に流れる隅田川、東京湾からのほのかな潮の香り〜日本橋浜町、大人な二人の静かな街
眼下に流れる隅田川、東京湾からのほのかな潮の香り……。
日本橋浜町、ここは私の思い出のデートスポットです。
夜19時。都営新宿線浜町駅で下車し街を歩くと、閑静な住宅街の中に暖色系の灯りがぽつり、またぽつり。
大人のカップルが静かに逢瀬を重ねています。
ここを選ぶ男女は、都会の喧騒や話題のお店を避け、気兼ねなく、自由に話をしたいという気持ちが強いのかな、そう感じさせます。宿泊する場所も実はたくさんありますが、主張はしていません。
ひっそりとたたずみ、いやらしさのない街です。
クリスマスのディナーを日本橋で済ませて浜町に向かうと、肩の力が抜け、いつもの2人に戻っていける、そんな包容力がある街です。
木漏れ日の中の甘酒横町で
夜の雰囲気を一文字で表現するならそこは「静」。
そこで気になるのが、「動」の時間帯です。
ホテルで睡眠をとり、朝日に照らされ目覚めると、いつも以上に明るさを感じます。
隅田川の水面に反射した太陽の光が目に飛び込み、静かだった夜とは一変、明るく快活な印象をもたらします。
浜町駅最寄りの公園、浜町公園には、まだ目覚めて間もないはずの子供達がボール遊びをしたり、ラジコンを走らせたりしています。ベンチで座ってコーヒーを胃に流し込む僕と彼女。
そのすぐ足元にまで子供達の生命力が転がってくるようです。
コーヒーを飲み終えた後、隅田川を背にして歩くと、甘酒横丁にぶつかります。
軒先きで甘酒を販売する和菓子屋さんは、老舗ばかり。
コーヒーを忘れた頃に飲む甘酒は、依然抜けきれぬ非日常の感覚を洗い流してくれます。
人形町駅で現実の世界に帰る
甘酒横丁を抜けると、人形町駅にたどり着きます。
名だたる日本の大企業のビルが目に飛び込んでくると、彼女もどこかホッとした様子です。
いよいよいつもの2人の関係性が戻ってきて、「今日はどうしようか」そんな会話が生まれるようになります。
そこからはご自由にどうぞ。
アクセスの良い土地柄、東京の東側なスポットはどこでも行くことができます。
上野や清澄白河で美術館を見て、お互いの感覚を確かめてもよし、葛西臨海公園で水族館に行ってもよし、もちろん、そのまま日本橋に戻ってショッピングを楽しんでもよし、万能の街です。
せっかくのクリスマス。ドレスコードがあるようなお店で、年に一度のディナーを楽しむのもいいものです。
しかし、背伸びして大人になる代償は意外と大きいものです。
浜町は、そんな大人になりきれない2人の夢を長引かせ、そしてそっと夢から目覚めさせてくれる、そんな雰囲気のある街です。